地域コミュニティーを支えるコモンズ

LI-LA



 利用が地域コミュニティーに限定されたローカルコモンズは、道路や公有地から得られる無償の資源であるコモンズを地域コミュニティーで利用・管理したものである。フリーライダーを抑制し、地域内の他のメンバーとの利益の共有を可能にしているローカルコモンズは、現地住民の生活に必要不可欠な要素であると共に、地球環境に配慮した持続可能エネルギーの利用を促進している。山間部や開発途上地域における有効な土地利用方法としても注目され、タイや中国ではローカルコモンズの考え方が積極的に取り入れられている。
 中国雲南省の山村では、牛やヤギ、ロバなどの家畜の放牧に、コモンズである道路脇や空き地の牧草が利用されている。住民達は資源を公有し持続的に利用できるほか、コモンズを利用することで世界の他の地域より比較的低コストで農業が運営できる。更に農地や牧草地の共有から、効率的な土地利用が行われていると言える。
 また、ローカルコモンズの概念はタイでも見て取れる。広大な農地の確保が必要なく、飼料費などの経費の節減にも繋がるローカルコモンズ利用型農業は、現地住民にとって重要な役割を果たしている。
 その他にも地域におけるコモンズの利用形態は様々に存在する。中国の剣川県では家や道路建設に使用される石灰岩がコモンズとして採取され、また泉の水は農業用水として地域のメンバーに利用されている。タイでは道路脇の遊水地や水田で繊維作物の生産が行われている。同作業は、皮を取り除くために1ヶ月程水に浸けなくてはならないため、コモンズの存在が不可欠となっている。
 このように、世界の各地域で利用されているコモンズは地域メンバーの管理の下で成り立っている。地域コミュニティーの共益を保つためにも、フリーライダー等によるコモンズの悲劇を生み出さないためにも、ローカルコモンズの役割が住民にとって必要不可欠であることが理解できる。環境保全にも有効な資源利用や土地利用方法など、ローカルコモンズに学ぶことは多く、コモンズの観点からの開発、農業運営に今後更に注目が集まるだろう。


参考:「雲南省の牧畜」(web)
http://www.geocities.jp/torikai007/china/yunnan2004cow.html
「タイの牧畜」(web)
http://www.geocities.jp/torikai007/thai/2003cow.html







2007.06.30.作成





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